360万パワー

1977年生まれ

コスプレのアフターについて知っていることを書く

anond.hatelabo.jp これを見たので、コスプレ界隈を知らない方に向けて、自分が知っていることを解説したいと思います。

コスプレ撮影の場所

コスプレの撮影はイベント、スタジオ、ロケの3パターンです。基本的にコスプレをしてもいい場所で撮影をするというのが暗黙のルール。コスプレが禁止されていないからコスした、というのはルール違反というコンセンサスです。この辺は映画やライブ、ライブビューイングで問題視されることがあります。

イベント

イベントというのは、コスプレイベントのことで、多くの方が思い浮かべるのはコミケが多いかと思いますが、コスプレイベントは基本的にはコスプレのみで開催されます。公共施設などで行われているので目撃したことがあるかもしれません。先の記事には参加費を負担と書かれているので、主にイベントでの撮影を指しているような感じがしました。ちなみにコスプレイベントの参加費はカメコは1000円から3000円くらいが一般的。

ところで、コスプレイヤーはナルシスト!みたいなことを言う方もいますが、必ずしもそうではありません。コスプレイベントを見るとわかると思います。ただただ好きなキャラの仮装をしてワイワイキャッキャしたいというコスプレイヤーも少なからずいて、そういうレイヤーはイベントを中心にコスプレを楽しんでいます。コスプレイベントはハロウィンパーティーみたいな感じだと捉えていいかと思います。

スタジオ

イベントよりもコスプレの写真をしっかり撮りたいという場合に使われるのがスタジオです。 コスプレ専用のスタジオというのが、結構沢山あります。NHKでもドキュメント72時間という番組で取り上げています。

http://www.nhk.or.jp/docudocu/program/210/1199087/index.htmlwww.nhk.or.jp

舞台となったスタジオは人気度はともかく、知名度はトップクラスのスタジオです。これと同じくらいの規模のコスプレ専用スタジオは首都圏だけでもいくつか、小規模なスタジオは数えられないくらい存在しています。

スタジオは貸し切りとシェアと呼ばれるタイプがあります。貸し切りなら利用料金は数万円からコスプレ専用ではないハウススタジオになると10万円以上。シェアはスタジオ全体を共用するタイプで、利用料金は一人2000円から4000円くらいになります。NHKの番組で出てきたスタジオはシェアタイプです。

コスプレ向けのスタジオでも商業的な撮影は行われているので、テレビなどでコスプレスタジオをそれとなく見ているかもしれません。

貸し切りの方は写真重視で、シェアは交流重視(ワイワイキャッキャ)が主流です(シェアスタジオでも写真重視ということも珍しくありませんが、大別するとそんな感じ)。

カメラマン、カメコの知り合いが少ないレイヤーや、平日休みのレイヤーは知り合いのカメラマンに撮影をお願いしにくいので、コスプレ専門のSNSでカメラマンを募集し、スタジオ代はレイヤー側が負担する、というケースは少なくありません。一方、使用料が高くなる貸し切りはカメラマンが負担することでレイヤーを誘う、という使われ方もあります。また、カメラマンにとってスタジオ撮影はテクニックを自慢する場でもあります。

ロケ

ロケというのは海や山や川、廃墟で撮影なんてケースもあります。廃墟などは象徴的ですが、ロケは使用許可を取るのがマナーになっていて、許可をとらずに撮影するとコスプレ界隈で袋叩きにあいます。中には許可をとったけど、その時に何かしら問題があり、その後コスプレには貸さないなんてことになり、袋叩きにあうケースもあります。

ロケは車での移動が基本なので、カメコ歴が長い人は単身者なのに無駄にでかいハッチバックやワンボックスに乗っています。レイヤーとカメコの間、カメコとカメコの間で財力の差が出てくるのがロケでもあります。だからといって、お金の力でレイヤーを釣っているのかというと、必ずしもそんなことはないと思います。

おっさんの車に乗るくらいなので、それなりのコミュニケーションがとれるカメコで、信頼はできるカメコでしょう。ロケの場合はほとんどアフターに行くと思われます。

撮影の種類

コスプレ撮影は個撮と併せに大別することが出来ます。 個撮というのはレイヤーとカメラマンが一対一で撮影するもので、併せは多数のレイヤーに対しカメラマンが一人というケース。レイヤーの人数によってはカメラマンも複数という場合もありますが、カメラマン側が嫌うのでそれほど多くありません。

またコスプレ撮影には必ずしもカメラマンがいるわけではありません。

個撮と併せ

先の記事の増田は個撮の後のアフターが苦痛だという話でした。アフターは後述。

個撮というのは割合ではそれほど多くありません。たとえば「サザエさん」のコスプレをする場合、カツオのコスプレを一人でやっても面白くないというのは想像できるでしょう。中島や花澤さん、サザエさんや波平がいた方が楽しいコスプレになることは明白です。

サザエさん」のコスプレだけでなく、大抵のコスプレは一人でやるよりも複数のキャラクターが揃っている方が楽しいので、複数のキャラクターと一緒に撮影します。それが併せです。一人でカツオのコスプレをして、カメラマンと一対一で撮影するのが個撮になります。

併せではなく個撮を行う理由はいくつかあります。他のレイヤーと都合がつかない、併せる相手がいない、写真の質を下げたくない、などなど。

コスプレイヤーの中には時間とお金を皆さんが思っている以上につぎ込む人が少なくなく、予定は数ヶ月後までビッシリ埋まっているなんて人は珍しくありません。なので、レイヤー同士が予定をすり合わせるのは意外と困難なようで、併せができないなら個撮で、というパターンがあります。

写真の質を下げたくないというのは、BMIや顔面偏差値を勘案して一緒に写るくらいなら個撮の方がマシというパターン。この辺は闇が深いので今回は掘り下げません。

他にもコスによっては併せでなくても、というパターンがあります。例えばすーぱーそに子です。 「サザエさん」で画像検索するとサザエさん以外のキャラも一緒になった画像が出てきますが、「そに子」を画像検索するとそに子だけの画像がヒットします。 そういう違いがあります。

先の記事では、どういう理由かわかりませんが、個撮をする機会が多いのでしょう。

撮り合いと三脚

コスプレを撮影するのはカメラマンとは限りません。レイヤーが撮る場合、三脚を使ってセルフタイマーで撮る場合もあります。

レイヤーどうしで撮る場合を撮り合いと呼びます。撮り合いはシェアスタジオなどではよくあります。撮り合いにはカメラマンが介在しないので、後述するアフターで親子ほどの年齢差がある男性と食事に行くことはありませんので、レイヤーにとっては撮り合いの方が気楽という方もいるようです。

撮り合いは必ずしもコスプレする作品が一緒ではなく、全く違うものであっても構いません。三脚の場合は同じ作品のコスプレを2人で行う場合に使われます。三脚にカメラを据えてセルフタイマーで撮影することを指しますが、それ以外の意味で使われることもあります。

コスプレ界隈では三脚はカメコを指す隠語でもあります。構図などをレイヤーがキッチリと指示して撮影して、カメコの考えを反映させずに道具として扱うというような意味です。

また本当の三脚は腐っている撮影に使われることも多いせいか、三脚撮影というような言葉は避けられる傾向があるような気がします。

業者

業者、プロによる撮影も少し触れたいと思います。

コスプレを撮影する業者というのも少しですがあります。コスプレスタジオ専属カメラマンがほとんどです。

コスプレの場合、着替えやメイクに1時間から2時間程度必要なので、カメラマンを1日雇ってもせいぜい3着か4着。カメラマンを生業としている方にお願いしたら1日なら2万円から3万円程度は必要です。さらにスタジオ代を負担するというのは、若いレイヤーにとって現実的ではありません。

なので、コスプレスタジオのスタッフを兼任するカメラマンが撮影するという感じで成り立っています。それでも1時間あたり数千円の料金が加算されるので、一般的ではありません。プリクラみたいな値段でカメラマンとして生活している人に撮影してもらえるとは考えないでください。

観光地でチャイナドレスや花魁の衣装を着て撮影する業者も広義のコスプレではありますが、趣味のコスプレとは全く違います。その辺を含めると成人式の前撮りもブライダルもコスプレになってしまうので、人生に一度のような撮影とは別物とお考えください。

アフター

撮影が終わると打ち上げ的な意味合いで食事に行くことが少なくありません。それをアフターと呼んでいます。 アフターはゆっくり出来る場所を選ぶのが基本なのでファミレスや焼肉、ビュッフェなどが多いようです。

今回の増田はそこに問題提起というか、不満を表明しています。

コスプレ撮影では併せでは複数のレイヤーがいて、カメラマンが一人というケースが多いので、アフターも複数の若い女性の中に男性が一人というケースが多くなります。そうなると、女性ペースでアフターは終わるでしょう。しかし、レイヤー一人、カメラマン一人の個撮後のアフターはそうならない。そこに感じるストレスを現したのが先の記事になります。

なぜアフターがあるのか?

そもそもなぜカメラマンと一緒のアフターがあるのか?という疑問は多くのレイヤーが持つ疑問ですが、理由はわかりません。ただ慣習として存在している、ということくらいです。コスプレイベントでは多少の地方色があるのですが、アフターは全国的に存在するようです。

アフターでデータを渡す、というカメコもいますが、そういう場合はノートパソコンを持参している場合なので、わざわざ飲食店でやる必要はありません。例えば、NHKのドキュメンタリーの舞台となったスタジオではデータ受け渡し用のパソコンが容易されていますし、ホテルのロビーのようなスペースも用意されています。データの受け渡しだけなら、その場で出来るように用意しているスタジオがあるにも関わらず、アフターでデータの受け渡しが行われるという不思議。

そして、レイヤー側がアフターに誘うのが礼儀、みたいな慣習もあります。先の記事にはアフターを断ったとありますが、カメコ側がアフターに誘うというよりもレイヤーがカメコをアフターに誘う方が多いような気がします。この慣習をやめにしたらいいと思うのですが、なぜか続いています。

女性中心のアフターはキャッキャウフフできますし、次の併せを決める場にもなりますが、男性カメラマンと一対一のアフターがなぜ起こるのかはよくわかりません。

撮影データ

コスプレ撮影ではデータの受け渡しが問題となることが少なくありません。

問題の1つはデータの受け渡し時期。仕事が早いカメコなら即日、遅いカメコなら1ヶ月以上後になります。 1ヶ月以上かかるのはRAWから一枚一枚現像するからだと思われますが、現状はスマホアプリだけで別人になり得ます。またレイヤーも自分の好みに合わせて加工したいというのが本音なので、現像なんていいから早く欲しいのいうのが本音でしょう。件の記事にもそのことが書かれています。

著作権

カメラマンの中には渡したデータを無加工で使って欲しいという方もいます。レイヤーはコスプレ写真をコスプレSNStwitterにアップすることが少なくありませんが、そういう場合は加工せずに渡したデータをそのまま使え、ということです。

写真の場合、撮影した人に著作権があるので、隣接権を考慮すれば無加工で使って欲しいという言い分はわかります。わかりますが、中には写真を加工したことに対して脅すようなカメコもいます。

一枚一枚ウォーターマークを入れて渡したのに、それを切り取るようにトリミングしたり、フレームを入れたりというような感じで。どっちもどっちのような気がしますが、コスプレ写真の権利を言い出すと、最後は原作者側にあると思うので私は大きな問題になってほしくないと考えています。

ちなみに、コスプレの衣装を販売している業者はいくつかあります。衣装を購入して着るレイヤーを自作派は「着ただけ」と揶揄することもあり、衣装1つにもコスプレ界隈にとっては微妙な問題をはらんでいます。 もちろん、業者が衣装を原作者に無許可で販売していいのか?という問題は常に起きています。

著作権とは何か―文化と創造のゆくえ (集英社新書)

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最後に

なんでコスプレ界隈について知っているのかというと、コスプレ界隈で少し商売をしているから。 なんでこんな記事を書いたかというと、コスプレカメコが増えると商売が盛り上がりそうだから。

コスプレ撮影はストロボを3つ4つ使うのが当たり前のような状況で、趣味としての写真撮影の中でも技術的に高度なものがあります。 これはカメラマンが被写体となる若い異性、レイヤーを囲うための生存戦略の結果でもあります。

コスプレ写真は独特のマナーやカメラ趣味の領域を超えているような撮影技法もあり参入障壁は高いと思いますが、マンガやアニメが好きでちょっといいカメラを持っている方で、それなりにコミュニケーションが出来る方は挑戦して欲しいのです。

その結果、私の商売が潤うことになるかもしれないので。

COSPLAY MODE(コスプレイモード) 2015年 07 月号 [雑誌]