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360万パワー

1977年生まれ

コンプレックスエイジと趣味と年齢

コスプレを題材としたマンガ、コンプレックスエイジが完結しました。

「コンプレックスエイジ」は同タイトルのちばてつや賞入選作品がネットで拡散されたことをきっかけにモーニングで連載された作品です。読み切りがネットで話題になり連載されたという経緯は6巻にざっくりと触れています。

www.moae.jp

はてブも伸びたので読み切りの方は読んだ方も多いと思います。

ちなみに、読み切りの主人公である佐和子は連載の主人公、渚の母親という設定になっていて、この構造が「コンプレックスエイジ」を面白くしています。

ザックリとしたあらすじ

27歳の派遣社員として働く渚がこの物語の主人公。渚の趣味はコスプレだけど、両親や会社の同僚にはそのことを隠しています。隠す理由は作中にいくつか出てきますが、いずれもコスプレ界隈ではよくある理由です。

隠していたコスプレが親バレして、同僚にバレたと思ったらその同僚もレイヤーで、同僚のレイヤーは社内にバレて会社をやめて実家に帰ってしまいます。

久しぶりに再開した同級生と付き合うものの、やっぱりコスプレがきっかけで別れてしまいます。 学生の頃からのコスプレ友達はレイヤーからカメコへジョブチェンジしたり、年齢とともに周りのレイヤー友達も変化する一方で、渚は大好きなコスプレに対して落とし所をどのように見つけるのか、というような話。

コスプレと年齢

コスプレと年齢は切っても切れない関係です。「コンプレックスエイジ」では趣味と年齢の関係が

コスプレと年齢の関係の難しさの一例を挙げましょう。エヴァンゲリオンのコスプレは(完結していない?ので当然かもしれませんが)今でもちょくちょく見かけます。 エヴァならアスカやレイのコスが多いのですが、テレビ版も旧劇も新劇も14歳のキャラをそれなりの年齢、少なくとも14歳以上の方がコスをすることが大半です。見る人によっては「おばさんが中学生のコスなんてするなよ!」と思ったり、口にしたり、書いたりするわけです。 これはコンプレックスエイジの作中にも描かれています。 それでもコスをしたいし、実際にやるのがコスプレです。

コスプレと年齢の問題の一つは、作品設定とレイヤーの実年齢の差にあります。もう一つは、コスプレは若い時に楽しむもの、みたいな考えが強いことにあります。

「コンプレックスエイジ」の作中では読み切りの方ではゴシックロリータの服ですが、ゴスロリ服もコスプレもある程度の年齢がきたら卒業しなくちゃいけない、という考えです。コスプレをする人、しない人、どちらも「いい年して」という考えが強くあります。

ちなみに、コスプレ界隈ではコスプレを卒業することを「あがる」といいます。何に由来しているのかわかりませんが、私は双六を思い浮かべます。

趣味と年齢

趣味と年齢の関係はコスプレやゴスロリだけではなく、最近話題になったものでいえば、アイドルなんかもあります。

趣味に対して「いい年して」という考え方はゴスロリ服やコスプレだけでなく、アイドルやマンガ・アニメなど、様々な趣味に対して出てくる意見であり、その意味で「コンプレックスエイジ」はコスプレを扱っただけのマンガではありません。

趣味と年齢に関して、周りから言われて気になる部分と、自分自身が気になる部分があり、「コンプレックスエイジ」ではどちらも扱っています。主人公の渚は周りから言われる部分は騙し騙し乗り越えるものの、その先には自分自身が気になる部分が残り、そこをどう着地させるのか、という内容でした。

趣味によっては「いい年して」と考えたことがある方は特に珍しくもないと思います。例えば私の場合、いつまでコロコロコミックを読んでいていいのか悩んだのが最初でした。

読み切りの方の主人公、母の佐和子はスッパリと趣味に区切りをつけ、連載の方の主人公、渚はそれを踏まえつつ別のルートに帰着しました。レイヤーの渚は元ゴスロリの母佐和子とは別の道、スッパリと止めてしまわない道を選びました。

読み切りと連載で結末を変えることで、年齢で趣味に区切りをつける、年をとっても趣味を諦めない、どちらの道が上でどちらが下かを示していないという意味で、最後はどちらのルートもハッピーエンドの構成になったのは面白いところです。

別ルートの結末

「コンプレックスエイジ」は読み切りと連載の2つの作品があり、母と娘の物語でもあります。そして、母と娘はそれぞれ別のルートを選びました。

娘は母が捨てた別の人生を選択する結末は、どこか母に対する復讐劇のようにも思えますが「コンプレックスエイジ」はそうではありません。 母と娘、父と息子が対立する物語は沢山ありますが、「コンプレックスエイジ」は対立する別の選択のその先で両立する物語になっています。ここが「コンプレックスエイジ」の面白さだと思います。

ともすれば現実ではコスプレやゴスロリ黒歴史として扱われがちですが、作中はそういった扱いにしなかったことは、趣味に対する作者の姿勢が伺えます。

作品は紆余曲折というか助長な部分はありますが、全体的には上手くまとまった最後になったと思います。

まとめ

最初は「コンプレックスエイジ」とコスプレ界隈について書こうと思ったのですが、「コンプレックスエイジ」に対するレイヤーの捉え方も様々なので止めました。 止めたというよりも、「コンプレックスエイジ」そのものについて思うことを語りたくなりました。

女子版「湾岸ミッドナイト」だと思って読んだら面白いと思います。

コンプレックス・エイジ(6)<完> (モーニング KC)

コンプレックス・エイジ(6)<完> (モーニング KC)