360万パワー

1977年生まれ

嘘の桜の写し方

twitterで変な写真が回ってくることがあります。 最近だと「雪と桜の写真」みたいなやつです。 実際に雪と桜が一緒に写っているものもありますが、全く違う写真が紛れている事が。

例えばこれがそうですが、写っているのは雪でも桜でもないと思います。 何が写っているのかというと、緑の葉っぱです。

緑の葉っぱが写っているはずなのですが、緑に見えないのは色々な理由があります。 緑のはずの葉っぱが白だったりピンクに写っているのは、元の写真が赤外写真だからです。

赤外写真

一般的に、写真は可視光を撮っています。可視光を撮る理由は私達が視ることのできる光が可視光だから。見えない光を写して、可視光線下で見える形にしたところで、私達が実際に見たものとはかけ離れてしまうので、可視光にだけ感光するフィルムなり撮像素子なりを使って写真を撮ります。

しかし、太陽から降り注ぐ光、電磁波は私達が視ることの出来ない光も含まれています。紫外線とか赤外線です。 なかでも赤外線は沢山降ってくるし、紫外線と違いレンズに吸収されないので、可視光ほどではないけれど、古くから写真として撮る光の対象でもありました。

赤外写真というと、服が透ける!というイメージがあるかもしれませんが、実際のところ透けません。 最近ではリチャード・モスという写真家が赤外写真を使いコンゴを撮って注目されました。

www.newsweekjapan.jp

写真を見れば服が透けないのがわかるかと思います。 服は透けないけど、変な色の写真であることは直ぐにわかります。 この変な色は赤外線のせいです。

国家警察の迷彩服が赤くなっていますが、実際には別の色だと思われます。 要するに赤外線を写すと、普段みる色とはかけ離れたものになるとうことです。

緑を白くしたりピンクにしたり

赤外写真というとモノクロが定番でしたが、数年前に赤外写真でありながらカラーで仕上げる方法が流行りました。 リチャード・モスの写真もその1つですが、多くは木とか葉っぱとかを被写体に使われました。

そもそも赤外写真がモノクロばかりで撮られた理由は、カラーで撮っても変な色にしかならないから。 変な色にしかならないので撮られなかったのですが、色をいじってしまえ!という流れが出来てしまいこういった写真が生まれました。

False color がデジタル赤外線写真の真骨頂: metalmickey's blog

デジタルでの加工はどこまでが写真として許されて、どこからが写真を超える加工になるのか、線引は難しいと思いますが、false colorと呼ばれるカラー赤外写真は線引を超えていると思います。

カラー赤外写真の写し方

実際に赤外写真を撮ってみたい!という時の方法ですが、まずはデジカメを改造します。 デジカメには赤外カットフィルターというのがセンサーにすぐ前にくっついているので、分解してそれを取り除き、その代わりに適当なものを入れます。 あとは、赤外フィルターと呼ばれる可視光をカットするフィルターを使えば赤外写真が撮れます。

もし、改造するのは無理!という場合はライカのM8、M8.2がオススメです。 元々赤外カットフィルターが付いていないので、簡単に赤外写真を撮ることができます。 中古で20万から30万円くらいだと思います。

M8は高すぎる!という方は素直に改造してください。ライブビューができるCMOSを使ったミラーレスならAFが使えて快適ですが、CMOSは赤外感度が弱いのでちょっと前のCCDを使ったデジタル一眼レフやコンパクトデジカメがオススメです。

赤外写真は星を撮る時にも使われるので、それ用に販売されていたり、改造してくれるお店があるので、それを利用してもいいでしょう。

赤外写真用にカメラを改造するなんて無理!という場合は、無改造のデジカメでも赤外フィルターを使えばなんとか写すことは可能です。 出来ればCCDを使ったもので、感度をISO1600くらいにして、シャッタースピードを4秒くらい確保すればなんとなく写ると思います。

そうやって赤外写真をカラーで撮って、色をphotoshopでいじると冒頭のようなヘンテコな写真になります。

実施例

f:id:pigumii:20150416131442j:plain 上半分はケヤキで、奥は桜です。

Hoya 72mm Infrared R72 Filter

Hoya 72mm Infrared R72 Filter