新型コロナウイルスと今シーズンのインフルエンザ

世の中が新型コロナウイルスを意識しだした時期

私がハンドジェルを買ったのが1月29日。この時点でダイソーはマスクお一人様一点までとなっていましたが、他のお店などでは数は少ないもののまだ店頭に在庫がある状態。この翌日、翌々日、2月に入るあたりからお店からマスクの在庫が消えます。

Twitterを検索すると1月中は中国、香港でマスクを求める行列が話題になり、日本での行列はありません。2月5日ころからマスクを求める行列が出来始めたようです。メルカリで転売されるのも2月5日ころから。それ以前は中国へ送る、持って帰るための買い占めが話題であり、国内での転売は意識されていませんでした。

ima.goo.ne.jp

マクドナルドでのバイトしている間は風邪を引かなかった、ツイートがバズったのが1月24日。この記事の中ではまだ新型コロナウイルスへの言及はありません（ただ、新型コロナウイルス対策の文脈としてRTしている人は結構いた印象）。

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ダイヤモンドプリンセス号から香港で降船した元乗客が新型コロナウイルス陽性とわかったのが2月1日、横浜に来たのが2月3日、5日から検査開始。ダイヤモンドプリンセス号が横浜に接岸した頃からテレビで扱うことも多くなり、新型コロナウイルスに対する意識が強くなったかと思われます。

今シーズンのインフルエンザ

ところで、インフルエンザの患者数では1月に入ってから例年よりもガクッと患者数が減っています。

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テレビで連日取り上げていたダイヤモンドプリンセス号は1月末の時点ではまだ何も起きていないこともあり、国内では新型コロナウイルスに対する当事者意識は醸成されず、対岸の火事と捉えていたと思います。しかし、マーケティング用語で言うところのイノベーターやアーリーアダプターの先行する2割程度の人は1月から手洗いやマスクなどで予防を始めたのでしょう。その結果、インフルエンザ感染者が例年に比べガクンと減ったと考えられます。仮にそうであれば、全体の約2割の人が対策を講じるだけで、感染症拡大予防に大きな効果をもたらす可能性があります。

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今シーズンは暖冬でインフルエンザが最初から少なかったという書き込みがネットで見られますが、東京都のデータを見る限りではそれは当たりません。2019年末の時点では2018−19シーズン、2017−18シーズンよりも今シーズンの方が患者数は多いことがわかります。

また、インフルエンザ流行期に入ったのは例年より2ヶ月ほど早く、これは新型インフルエンザが流行した2009年を除けば、最も早い流行期入りです。 2020年に入ると全国的にもインフルエンザ患者数は例年より少なくなっていますが、全国平均よりもインフルエンザ患者数が多い地域も見られます。確認した限りでは北海道は流行初期の患者数が多く、2020年に入ってからも患者数が全国平均よりかなり多い週が見られます（たまたまなのか、北海道でインフルエンザ患者数が全国平均よりも多い時期と北海道で新型コロナウイルス感染者が沢山現れた時期は合致します）。 http://www.iph.pref.hokkaido.jp/kansen/501/data.html

ここで気になるのが、今シーズン当初のインフルエンザ患者数の多さは実は新型コロナウイルスによるものでは？という疑問です。この疑問は今後抗体検査により判明するでしょう（インフルエンザ患者数のカウントは必ずしもインフルエンザ陽性を確認しているわけではありませんし、推定も含まれます）。抗体検査により感染者数が明らかになることで、集団免疫へのアプローチ方法、スケジュールが決まることになります。

まとめ

暖冬ではあるがインフルエンザ流行期は例年よりも2ヶ月程度早く、2019年内は患者数も多かった。国内では2月に入るまで新型コロナウイルス対策としてマスクや手洗いは多くの人に意識されていないにも関わらず、同じ感染症であるインフルエンザ患者数は1月に入り激減。これは意識の高い人達が対策を講じたためと考えられる。

インフルエンザと比べると免疫を持っていない新型コロナウイルスは感染しやすいと思われるため、新型コロナウイルスにおいても集団の2割が対策を取るだけで感染を大幅に抑えられるとは言い切れませんが、想像以上に大きな効果に繋がることが期待されます。

自粛要請や休校要請は大げさすぎる対応と言えるかもしれませんし、大げさすぎる対応をしたことで一人ひとりが気を引き締めて対策を講じたとも捉えられるし、評価は難しいでしょう。今後は、気を緩めずにどれだけ多くの人が手洗いを続けられるか、習慣化できるかが課題になるでしょう。