どうして紅茶を受け皿、ソーサーで飲んでいたのか
紅茶をお皿で飲むってやつだけど、どうしてお皿で飲んでいるのかその起源はわかっていないはず。 お皿で飲んでいたという一次資料はあるのだけど、どうしてお皿で飲むようになったのか説明をする一次資料はない(はず)。
前提として当時はお茶も磁器も中国(磁器は日本からも)から輸入していた。磁器はヨーロッパで作ることが出来なかったため中国で使われていたものをそのまま使っていたので当時のティーカップにはハンドルがない。
お皿でお茶を淹れた説については、お皿で飲むようになった起源ではないと思われる。 前提として、お茶がヨーロッパに伝わった頃、既にコーヒーは伝わっていそこそこ飲まれていたらしい。 お茶もそうだけど、コーヒー豆と共にコーヒー用の道具も伝わっていた。 当時のコーヒーはドリップじゃなくて煮出していた。鍋からコーヒーポットに移して豆を沈めてから飲んでいたと思われる。 (ちなみにコーヒーポットというのはひょうたん型の縦長のポット。アニメではコーヒーポットを使って紅茶を淹れることがあるけれど間違い。当時のヨーロッパは律儀にコーヒーポットとティーポットを使い分けていた。なーロッパは知らん)
なので、(割れずにヨーロッパまで運べたら)急須の使い方は想像が出来たはず。 お皿を使ってお茶を煮出すとは考えないだろう。
そもそも、いつから茶碗の下に皿を敷いたのかという疑問がある。 当時の中国ではそんな風に使われてはいなかったと思われ、コーヒーの輸入元であるイスラム圏はどうかわからないけど恐らくないんじゃないかと思われる。素焼きを使い捨てるインドにはない。 ということで、ティーカップにいれた紅茶を受け皿に移したのではなくて、最初から深めの皿にいれた紅茶を飲む派がいて、いつの間にかそれが受け皿としてカップの下に敷かれた可能性が指摘されている。 当時は中国から磁器を輸入していて、中国の茶碗にはハンドルが付いていないことを思い出して欲しい。 中国で作られた茶器の使い方がよくわからず、茶碗と深めの小皿との区別がつかなかった説だ。
この説に従うとカップのソーサー、受け皿で紅茶を飲み始めたのではなく、飲んでいたお皿がいつの間にかソーサーになった可能性が高い。 私はこの説が有力だと考えている。
ところで現在ティーカップとコーヒーカップは案外明確に区別されていない。詳しく言うとコーヒーカップはあるのだけど、多くのティーカップはコーヒー兼用として販売されている。 明確に紅茶用として販売されているものは開口部が広く平べったいもの。対してコーヒーカップは寸胴。恐らく寸胴なカップもイスラム圏由来のデザイン。 先にヨーロッパに入ってきたコーヒー用の器具と比較して中国製の磁器は平べったく、茶碗とお皿の区別がつかずお皿で飲んだことがきっかけだったのかもしれない。
とにかく、お皿で紅茶を飲みだした理由はわかっていない。もしかしたら単なるオリエンタリズムでお皿を使って飲んだのかもしれない。
ヘレンド (HEREND) PT プランタン ティーカップ&ソーサー 724
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