360万パワー

1977年生まれ

シン・ゴジラは二塁打か満塁ホームランかくらいの評価

シン・ゴジラを見たので感想とか気になったこととか。


『シン・ゴジラ』予告

満塁ホームランか二塁打か、くらいの評価

かなり絶賛の感想が目につきますが、見る人によって意見はわかれそうです。それでも三振かホームランか、という感じではなくて二塁打か満塁ホームランか、という感じ。キネマ旬報で1番にはならないと思いますが、もしかしたらあるのでしょうか?

どの辺で意見が分かれると思ったのかというと、序盤のアニメののりです。アニメは間を持たせるのが難しいので短いカットを次々とつなぎ、かぶせ気味にセリフを重ねます。シン・ゴジラの序盤はアニメのような、役者の演技を否定するような、短いカットに次々とセリフが飛びます。まず、これについていけるかといのがあります。そして、ついていっても疲れます。

序盤・中盤・終盤でも序破急でもいいのですが、はじめの方で疲れてしまって、途中でダレる感があります。箸休めだと思えばいいのですが、ここで気持ちが途切れる人もいるだろうなぁと思います。なので意見が分かれるだろうと。中盤は中盤で色々詰め込んでいるので、そこに食いつけると満塁ホームランとなるでしょう。

満塁ホームランとならなくても、中盤で気持ちが途切れても、終盤は十分に面白いので二塁打くらいはあるでしょう。ただ、ラーメンでいうとあっさりが好きなのに二郎を全く知らずに行列に惹かれて食べたらダメだった、というケースはあると思うので三振と感じる方もいるでしょう。

あとは、東日本大震災を下敷きというか踏まえての内容なので、そこを否定的に捉える方はダメかもしれません。自衛隊違憲自衛隊は人を殺す予算!という方は全然ダメだと思います。

パトレイバー

見た感想としては、なんとなくパトレイバーみたい。エヴァっぽいと感じる人もいるようですが、どの辺がエヴァなのかよくわかりません。押井守がどんな感想を持つのか気になるところです。どの辺がパトレイバーかというと、ハリウッド映画にありそうな個の力で突破するヒーローではなく組織で戦う感じが。シン・ゴジラの面白いところを挙げると10人中7人は組織で戦うことを指摘するのではないかと思うくらい、面白さがあります。

日本のある組織が問題の対処するという映画などは色々ありますが、ああだこうだと中々前に進まない描写が多かったのではないかと思います。極端なものが「12人の優しい日本人」ですが、そういった責任者の不在はなく、シン・ゴジラでは多少やきもきさせながらもどんどん先へ進みます。

それぞれの立場でそれぞれの仕事をこなすだけ、というのは整った組織の良し悪しはあれど、劇中では肯定的によい方へ進みます。自分の役割、出来ることをこなすというのはパトレイバー的でしょう。

パトレイバーというと昼行灯の後藤隊長ですが、平泉成演じる臨時総理大臣がただひたすら頭を下げるという根回しのやり方は少しそれっぽくて私が一番好きなシーンです。

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説得力

プロレス鑑賞には説得力という言葉があります。プロレスは競技ではなく興行ですので、多かれ少なかれブックと呼ばれるものは存在すると思いますが、脚本通りのプロレスをやっただけでは流石のプロレスファンも白けます。そこを白けさせないのが説得力です。 こんな技を返すのか!こんな技は返せない!と思わせるのが説得力です。

特撮映画、パニック映画にも同様に説得力が必要です。クリエイターの突飛な想像力、絵空事ではないと思わせる説得力です。CG、VFXを使うのが定番ですが、シン・ゴジラではVFXよりも特撮を信じていたような感じがします。しかし、VFXや特撮では説得力は十分ではありません。そこを補う説得力は日本人あるある的な描写。東日本大震災を踏まえての日本人あるあるなので、説得力があります。

一方でよくわからない、説得力が不足しているところもあります。例えばゴジラはなぜ上陸できたのか。劇中では地上に上がったら自重で潰れるので上陸はしないでしょ、と最初は考えていました。ウルトラマン研究序説でもあったと思いますが人間や動物と同じような骨格では特撮の巨大生物は自重に耐えられません。巨神兵の集合体なのかもしれませんが、科学に基いた設定を作るのも困難だと思います

他には半減期20日の新元素が崩壊したら何になるのか、など科学的なところは引っかかるところがあります。

どうでもいいところでは、どうして石原さとみはG-1を着ているのでしょうか?ドレスの上にフライトジャケットはマリリンモンローなのかなぁと思いましたがぐぐったらマリリンモンローはB-15Cだったようです。

皇室

日本沈没」では皇室が残れば日本列島がなくなろうとも日本国民としてやっていけるだろう、みたいな感じで扱っていましたが、シン・ゴジラの方は皇室には全く触れません。扱いが難しいのでしょうがないですが、ゴジラが飛んでるもの絶対殺すマンに変身してから避難したら総理大臣や閣僚と同様にやられていたであろう距離なので心配です。

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巨神兵

最後のは巨神兵だと考えている派です。それ以外の派閥は知りませんが。では、なぜ巨神兵なのでしょう?私は円谷英二に対する謝辞ではないかと思いました。ゴジラがなければ巨神兵もないし、エヴァもなかった、当然シン・ゴジラは生まれなかった。全てはゴジラから生まれたというリスペクトを込めたものではないか、ということです。

劇中では「怪獣」という言葉は使われておらず、それは円谷英二がいなかった世界線という設定だからだそうです。しかしながら、見る側は「怪獣」という概念を知っていますし、シン・ゴジラ制作陣もそれに対するリテラシーのようなものを否定せずに活用しています。円谷英二ゴジラがなければ始まらなかった。そこで最後の最後にああなったのかなぁというのが私の考えです。

続編に含みを持たせるという考えもありますが、庵野秀明が素直にそれを実行した試しがあるのか、という話です。

最後に

庵野秀明を抜きにして、樋口真嗣がシン・ガメラを作ることを期待しています。