スマホのカメラで撮ったものをなんて呼べばいいのか問題
日本なら写メと呼んでいいような気がします。写メールの写メでしたが、今ではメールにしなくても、(自己申告で)SNSに使わなくても写メと呼んで違和感がありませんし、写メでいいような気がしますし、写真という言葉を譲り従来の写真が別の言葉を求めてもいいのかもしれません。
何の話かというと、ベンダースのこのインタビューが元です。
ベンダースは映画監督で奥様が写真家で、ベンダース自身も写真展を行ったり写真集を出したりしています。尾道を撮ったりしていますが、ベンダースの写真自体は案外普通です。
- 作者: ヴィムヴェンダース,Wim Wenders,宮下誠
- 出版社/メーカー: PARCO出版
- 発売日: 1994/12
- メディア: 単行本
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このインタビューではスマホのカメラで撮影したものを写真ではない何か別の呼称が必要、みたいな話をしています。写真は訳語であり、この辺が日本語ではより複雑というか面倒というか、もしかしたら単純になるかもしれません。
photography
photographyの訳語の一つに光画というものもありました。恐らくこの訳語はダゲレオタイプに使われたもので、それより以前のカメラオブスキュラには写真という言葉が当てられました。 ざっくり言うと、カメラオブスキュラというのは投影する装置で、投影した映像ではありません。ダゲレオタイプというのは投影した映像を化学反応で固定化したものです。 もしかしたら、カメラを写真と呼び、撮影したものを光画と呼んでいた(訳語として使い分けていた)時期があったかもしれません。
photographyの訳語に「写真」の他にはかつて「光画」がありました。そして日本では「写真」という訳語はふさわしくない、みたいな議論が細く長く続いています。写真という言葉は真実を写す、みたいに思わせるからふさわしくない、光で描くから「光画」がふさわしい(写真よりまし)、みたいな内容です。スマホ以前、デジカメ以前からフィルムで撮影したものを意図的に加工(強調)することはできたし、ドキュメンタリー風のディレクテッドな写真(ざっくり言えばやらせ)もあり、真実を写しているわけではない後ろめたさか、「写真」よりも「光画」がふさわしい、というわけです。
なので、日本においては従来からの写真を写真と呼ぶのは止めて(スマホで撮影したものに譲り)光画と呼ぶのもいいのかもしれません。
まとめ(本題)
適当なことを書きましたが、ベンダースはスマホで撮ったものを写真と呼びたくない、とかではなくて、撮ったけれど時間が経てから見直すこともなく通り過ぎることの方を気にしているような気がします。
今でこそクラウドに写真を保存出来ますが、(今でもクラウドに保存することもない人もいますが)ちょっと前は友人の結婚式で撮った写真ですら機種変の度に写真が消えてなくなることを受け入れる人がいます。
24時間で消えるInstagramのストーリーなども受け入れられています。そういったものと、残すために撮影したものとを同列に扱うのはベンダースが言うように違うように思えます。
電子書籍がいまだに「本」と呼ばれないように、別の呼称があるべきという意見は当然かもしれません。